ザ・ドリーム・ネック・ギロチンド 萩原朔美
萩原朔美は寺山修司主宰の「演劇実験室・天井桟敷」で俳優、演出をV務1めたことを皮切りに20代から、著述、版画、写真など様々なジャンルの創作活動を行なってきたが、その中で重要なキャリアを形成しているのが映像制作である。1970年代から本格的なスタートを切るその膨大なフィルモグラフィーは、時間、身体、映像論など多岐に渡るテーマを持つ。今回は4つのテーマにそって作品をセレクトし、映像作家・萩原朔美の全体像に迫る。
1946年生まれ。映像作家、演出家、エッセイスト。寺山修司が主催した劇団「天井桟敷」の立ち上げに俳優として参加、その後演出を担当する。70年代以降は、実験映画、ビデオアートをはじめ、版画、写真など分野を越えて表現活動を行う。前橋文学館館長、多摩美術大学名誉教授。
映像作家は時間を自由にコントロールするが、生け捕った時間をクールに提示するのが萩原朔美の流儀だ。ライフワークともいえる“定点観測”のモチーフを用いた『TIME』、ワンショットムービーの傑作『KIRI』の2つの代表作のほか、時間を記憶に変容させる『トランスレイト』など8作品を上映。
TIME 萩原朔美/16ミリ/15分/1971
KIRI 萩原朔美/16ミリ/7分/1972
TIME TABLE 17 JUNE 1973 萩原朔美/16ミリ/5分/1973
DIAGRAM 萩原朔美/16ミリ/10分/1973
リプリント 萩原朔美/16ミリ/3分/1977
記号乗物 萩原朔美/16ミリ/4分/1983
トランスレイト 萩原朔美/16ミリ/5分/1984
記念写真 萩原朔美/16ミリ/10分/1990
☆萩原朔美 ティーチ・イン: 5/3 13:00の回
東京:4/29 13:00,5/3 13:00 プログラム X1
京都:5/17 13:45 プログラム X1
「どうして、人は光の明滅に注目してしまうのだろうか」。映画からフリッカー(=明滅)への回帰。1972年の『ザ・ドリーム・ネック・ギロチンド』に始まり、『キライズム』、『キライズムの旅』に至る、人間の本能に訴えかける映画のプリミティブな魅力を分析するプログラム。映画史の起源、『列車の到着』から発想した『ミシンと機関車』も上映。
ザ・ドリーム・ネック・ギロチンド 萩原朔美/16ミリ/3分/1972
BUTTERFLY 萩原朔美/8ミリ/3分/1973
風は木を忘れる 萩原朔美/デジタル/15分/2006
キライズム 萩原朔美/デジタル/20分/2008
キライズムの旅 萩原朔美/デジタル/20分/2009
ミシンと機関車 萩原朔美/デジタル/15分/2015
東京:4/29 16:00, 5/3 16:00 プログラム X2
京都:5/17 16:30 プログラム X2
映画は表現だけではなく、思考の手段でもある。映像制作という行為そのものが次々とイメージを膨らませていくきっかけとなる。ドア、本、ポスト、レンブラントの自画像、そうしたモチーフに触発された映像エッセイのプログラム。『映像書簡7』ではフィクションについての考察が展開される。
DRAMA 萩原朔美/16ミリ/3分/1974
ポストの話 萩原朔美/デジタル/15分/2007
聴雨 -笑う悲しみ- 萩原朔美/デジタル/15分/2011
総ては本 萩原朔美/デジタル/15分/2011
映像書簡7 かわなかのぶひろ+萩原朔美/16ミリ/31分/1996
☆萩原朔美 ティーチ・イン: 5/4 13:00の回
東京:4/29 19:00, 5/4 13:00 プログラム X3
京都:5/18 13:45 プログラム X3
母である作家・萩原葉子の追想『その後の母のこと』は、滔々たる時間の流れに寄り添うかのような映像エッセイ。加えて失明に至る左目をモチーフにした「目の中の水」シリーズは3作を一挙上映する。「わたしから、わたしたちへと移行するのが、この三部作のテーマである」。自らの身体をも被写体にするのが映像作家なのだ。
2月10日 萩原朔美/16ミリ/5分/1988
その後の母のこと 萩原朔美/デジタル/15分/2005
目の中の水 萩原朔美/デジタル/15分/2012
目の中の水・2 -春丸・秋丸- 萩原朔美/デジタル/15分/2013
目の中の水・3 -秋丸の家出- 萩原朔美/デジタル/15分/2014
左からやってくるもの 萩原朔美/デジタル/15分/2016