プログラム

SP1-SP4 映像の発見-松本俊夫の時代 第I部~IV部

映像の発見-松本俊夫の時代 筒井武文

映像作家(という呼称を初めて使った)松本俊夫は、記録映画から出発しながら、アヴァンギャルドとしての方法論を取り入れ、日本の前衛映画の確立に大きな役割を果たした。
1958年から63年までの映画論をまとめた最初の評論集「映像の発見」は、当時の映画を志す青年たちに大きな影響を与えた。また、石堂淑朗や大島渚たちと熱い論争を繰り広げた。しかし、松本俊夫は映像理論家やイデオローグである以前に、優れた映画作家である。理知的な作家に見られがちだが、彼の作品には無意識が息づいており、それが相反する<恐怖>と<笑い>を同時にもたらしもする。ラジオ、テレビ、演劇、CF、拡張映画、劇映画、実験映画、インスタレーションと広がる松本俊夫の軌跡をたどり、松本と時代との関わりを浮き彫りにする。
 
映像の発見-松本俊夫の時代 第I部~IV部 筒井武文/デジタル/539分/2015年 
出演:藤原智子、湯浅譲二、観世栄夫、一柳慧、佐々木守、西嶋憲生、かわなかのぶひろ、波多野哲郎、金井勝、坂尻昌平、高山英男、中条省平、渡辺哲也、菊池滋、押切隆世、佐々木伯、川村健一郎他

 

松本俊夫

映像作家。1932年生まれ。大学卒業後、新理研映画でPR映画を手がけ、『銀輪』(56)を監督。その後、『西陣』(61)、『石の詩』(63)などの前衛的なドキュメンタリーを手がけて注目される。『薔薇の葬列』(69)で劇映画にも進出し、『修羅』(71)、『十六歳の戦争』(73)、『ドグラ・マグラ』(88)を監督。実験映画では『つぶれかかった右眼のために』(68)、『アートマン』(75)、『シフト<断層>』(82)などの先鋭的な作品を多数制作。映画理論家としても知られ、主な著書に『映像の発見』(63)、『幻視の美学』(76)など。2017年4月12日逝去。

 

SP1 第I部 記録映画篇

137分

松本俊夫の映画との出会いから始まり、新理研映画入社、『銀輪』の制作、フリーになり、記録映画から、ラジオ、テレビ、演劇などを手掛けた多彩な活動の後、3年半の空白期間を経て、『母たち』で映画作家として復活するまでの軌跡をたどる。
 

上映日

東京:5/1 13:00  プログラム SP1
 

 

SP2 第II部 拡張映画篇

153分

68年から70年万博の騒乱の時代。『つぶれかかった右眼のために』で、3面マルチで時代を捉えた松本は、風船に映写する試みや、大阪万博「せんい館」で、彫刻をあしらった巨大ドームに複数の映像を投影する実験を試みた。「映像の発見」など著作の影響の広がりや、60年代という時代に関する考察も行う。
 

上映日

東京:5/1 16:00  プログラム SP2
 

 

SP3 第III部 劇映画篇

140分

『薔薇の葬列』から『ドグラ・マグラ』に至る劇映画の系譜を探る。
 

上映日

東京:5/2 13:00  プログラム SP3
 

 

SP4 第IV部 実験映画篇

109分

松本俊夫の実験映画の流れをたどりつつ、90年代以降の沈黙の意味を問う。2006年に川崎市市民ミュージアムで開催された「松本俊夫:『映像の変革』」の関連企画「眩暈の装置」での展示を追う。
 

上映日

東京:5/2 16:00  プログラム SP4

 
 

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