髙村安以/デジタル/カラー/22分/2017
家族にはホコロビがある。異性装の自分、自閉症の弟、特攻に囚われた祖父、思い出の中で生きる2人の祖母。全て自分がカメラで開かなければ、何もなく、今日もウツクシク過ごせたのだろう。大好きだから壊しにいく、だから離れていかないで?(T.A.)
故郷と自室を往来しながら家族と紡がれた時間をなぞり、作者が自己を模索するセルフ・ドキュメンタリー。抱えられた葛藤は、母親との会話によって顕になり、絞り出されたような作者の独白から溢れ出す。本作には、その葛藤とあるがままであろうとすることの難しさが、不安定ながらも力強い眼差しで捉えられ映し出されている。
1994年高知生まれ、18歳まで高知で過ごす。2017年大正大学表現文化学科放送・映像表現コース卒業。自身は女性の服を着ると悪寒がする異性装者。卒業制作として、地域と都会のジェンダー認識の差をぶつけた『あ()のままじゃダメですか?』(15)を発表。