ライナー・コールバーガー/35ミリ/8分/2017
「私はいつも“ノイズ”に魅了されてきた。若かった頃、映らない古いテレビセットがあったので私は静電の“ちらつき”を食い入るように見詰めた。つまみをひねり、シグナルノイズを変えると、それは、あたかも原始的な楽器になった。私にとってノイズはネガティブなものではなく、むしろ、世界に新たにやってくる全てのものの予兆を示すものだ。つまり、不確定性という素晴らしい可能性が約束されるのだ。」(ライナー・コールバーガー)
ライナー・コールバーガーは、様々なアルゴリズムを用いて膨大なアクション映画からノイズを抜き出し、根本的要素になるまで物語のドラマツルギーを削ぎ落としていく。本作は、最大限の抽象化と純粋な不明瞭さの間を揺れ動き、不明瞭な中で物が形をなしては消えていきながら、その空間を浮かび上がらせる。
1982年リンツ(オーストリア)生まれ。フリーのヴィデオアーティスト、メディアデザイナーとしてベルリンを拠点に活動し、アルゴリズムに基づいた映像のインスタレーション、実験映画、その場で可視化するライブなどの形で発表している。作品は緻密な還元主義的な映像で、形式を伴いながらも遊び心溢れる話法と、ノイズの美学の間を揺れ動く。