池端規恵子/デジタル/カラー/13分/2017
鮮明に記録された写真を何度も見ているうちに、おぼろげだった本来の記憶が消えていってしまう。ではその写真を失ったら、あとには何も残らないだろうか? 自分や母の写真を、まるで標本のように並べ続ける女性が、ある1日分の写真を無くしてしまう物語。母との共同制作作品。(I.K.)
古い家族写真が主役である。宝探しのように懐中電灯の光でそれらが照らし出され、続いて畳の上にマチ針で止められて展覧された写真の異様な光景が出現。失われた日付をめぐるミステリアスな展開に謎説きを促されるが、その道筋からは「真実」に到達できない。モノローグも映像も、詩がもつ強力なメッセージ力を応用して制作された一編。
1983年静岡県生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。ドキュメンタリー番組の演出を経て現在大学臨時職員。東京映像旅団メンバー。近年では母が30年以上撮りためてきたホームビデオを用い、母とのコラボレーションの中で作品制作をすすめている。