PROGRAM

B 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション2

【東京】シアター・イメージフォーラム:9/17(SAT) 16:00、9/20(TUE) 13:30
【京都】京都みなみ会館:10/8(SAT) 16:00
【名古屋】愛知芸術文化センター:11/23(WED) 13:15

4作品96分

韓国

喪失の家

全振圭 (チョン・ジンギュ) / デジタル / 10分 / 2022年

老人ホームで頭を刈られる老人たち。空虚さに満ちたその表情は、とある夏の花火大会の夜に豹変する。残酷に進む時間、癒えない心の 病や戦争の歴史を背景に、いまもなお朝鮮戦争の傷痕を抱える老輩を見つめる、戦争を知らない「私」の視点で語られるアニメーション。テーマとは対照的に、その画はやさしく静謐な線で描かれて美しい。

全振圭 (チョン・ジンギュ)
1987年に韓国、ソウルで生まれる。2015年に韓国芸術総合大学を卒業。卒業後はアニメターターとしてスタジオシェルターに二年間勤務(2015-2017年)。2022年に東京藝術大学大学院アニメーション専攻修了。

日本

生後睡眠ヶ月

藤井アンナ / デジタル / 11分 / 2021年

ある日占いで「あなたの精神は32歳まで寝ている」と言われた。「これまでの人生は夢だったの?」。誰もがふと意識する人生における時間経過について20代の作者ならではの切り口でつづったセルフドキュメンタリー。眠りと目覚めの間で紡がれるような白昼夢的モノローグと映像が、作者独自の詩的世界観を生み出している。

藤井アンナ
日常的に記録する映像、音、写真、文章等の素材を元にドキュメンタリー風や、実験的な作品をつくる。アメリカの美術大学で出会った欧米のアヴァンギャルド・実験映画文化や現役作家の教授らに影響を受け映像制作を開始。 卒業後は東京へ移りイメージフォーラム映像研究所へ通い制作続行。現在は東京を拠点に上映活動をしながら新作制作中。

日本

不安な体

水尻自子 / デジタル / 5分 / 2021年

セロハンテープに引っ張られる皮膚のふくらみ、花びらのようにめくれるささくれ繊細な身体感覚が画面越しに伝播するかのような触覚的アニメーション。パステルカラーの柔らかいタッチのイラストに淡い音像のサウンドが重なり、ポップで官能的な世界が広がる。2021年カンヌ国際映画祭監督週間コンペティション選出。

水尻自子
1984年生まれ。身体の一部や身近なモチーフをアニメーションで感触的に表現する映像作家。

台湾

亡霊の堆積

エラ・ライデル / デジタル / 70分 / 2021年

冒頭、中国に再現されたエッフェル塔の映像が目を引きつける。中国は建設ラッシュの急激な変化の只中にあり、破壊と建設が繰り返され、実現性のない都市計画が乱発される。そこにあるのは現実と虚構の入り混じる風景だ。ドキュメンタリーとフィクションを織り交ぜ、資本主義に翻弄される現代中国の都市の姿を描いた実験的作品。

エラ・ライデル
映像作家、アーティスト、研究者として、映画、ビデオ、論文など複数の領域で活動している。作品においては常にグローバル化と都市化への社会文化的なあらゆる角度からの視点と映像表現に焦点を当てている。ハイブリッドな手段は映像製作、芸術、研究を論証的に解答を導くために使われている。近年、中国経済の前例のない成長と目まぐるしい都市部の変化に懸念を示し、そのテーマについて新たなドキュメンタリー媒体やナレーションの手法で実験を繰り返している。ライデルの作品は国際ビエンナーレ、展覧会、会議に参加し、数々の国際映画祭で上映されている。2019年より南洋理工大学の助教授を務める。

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