PROGRAM

A 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション1

【東京】シアター・イメージフォーラム:9/17(SAT) 13:30、9/20(TUE) 18:30
【京都】京都みなみ会館:10/8(SAT) 13:30
【名古屋】愛知芸術文化センター:11/23(WED) 11:00

4作品104分

中国 / フランス

海になるための1001回の試行

ワン・ユーヤン / デジタル / 12分 / 2021年

キャンバスに海が描かれようとすると、映像は一気に夥しいイメージの連鎖へと突入する。浜辺に押し寄せる大波、ぎっしりと詰まった浮き輪で遊ぶ人々で埋め尽くされた海水浴場、崩れ落ちる氷山。その映像はネット上の「サティスファイング動画」からの引用だ。これは情報過多の世界に対する賛美なのか、批判なのか!?

ワン・ユーヤン
パリ在住の映像作家、マルチディシプリナリーアーティスト。2020年にル・フレノワ国立現代アートスタジオを、2016年にパリ国立高等美術学院を卒 業。工業生産性に支えられた無限のメディア生産からインスピレーションを得ている。彼女の作品は、フィルムとインスタレーションの間で揺れ動き、しばしば分解する抽象的なプロセスで没入的な視点に立つ。最新作『海になるための1001回の試行』(21)は、ベルリン国際映画祭2021に選出された。

日本

蟹眼

前田青空 / デジタル / 12分 / 2022年

ちゃぶ台に座る男は目の前の釜を見つめている。やがて吹き上がる泡に身体を冒され、片腕の少女に追われる幻想に溺れていく。ロトスコープで描かれたキャラクターの幻想は、意表を突く3DCGの空間移動を伴って展開。実験性の高いアニメーションだ。蟹眼とは蟹の眼ほどの小さな泡立ちの湯加減の意から茶釜の湯の煮えたぎること。

前田青空
1999年埼玉県生まれ。2022年日本大学芸術学部映画学科卒業。主にロトスコープをテーマとした映像制作を行い、実写素材や3DCGを用いて空間表現の拡張を試みている。他の作品に『BOX』(21)など。

日本

骨噛み

矢野ほなみ / デジタル / 10分 / 2021年

死者を弔うため、火葬した骨を食べる儀式「骨噛み」。父の骨を噛むことができなかったことがトラウマとなっていた作者が、自身の過去と向き合い制作したアニメーション。大胆にメタモルフォーゼする緻密な点描画に幼少期の記憶の鮮やかさが表現されている。2021年オタワ国際アニメーション映画祭短編部門グランプリ受賞

矢野ほなみ
アニメーション作家。瀬戸内海の島生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科修了。『骨嚙み』が世界三大アニメーション映画祭であるオタワ国際アニメーション映画祭で短編部門グランプリを受賞。女子美術大学非常勤講師。 honamiyano.com

韓国

メルティング・アイスクリーム

ホン・ジンフォン / デジタル / 70分 / 2021年

韓国民主化運動記念事業会の倉庫で80年代の民主化運動の記録写真が発見された。傷んだ写真の復元を依頼された作者は、民主化運動世代の「その後」に思いを深めていく。アーカイブ映像やインタビューなどの資料を通して、歴史を可視化する権力はどこにあるかを問う意欲作。現代韓国の政治状況を理解する上でも貴重な一作。

ホン・ジンフォン
人間の手により逸脱してしまった景色を注視しそれらをカメラで集めることを主な生業としている。これまでに6つの個展と数々のグループ展示に参加し、同僚と共に展覧会やプログラムを企画するスペースも運営している。時によりプログラミングをし、ウェブサイトを作り、執筆、料理と表現を変えるが、現在、映画制作中。

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