PROGRAM

E 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション5

【東京】シアター・イメージフォーラム:9/26(SUN)13:15、9/30(THU)11:00
【京都】Lumen Gallery:10/31(SUN)11:00
【名古屋】愛知芸術文化センター:11/27(SAT)13:15

4作品96分

日本

Between hate&like

鈴木理利子 / デジタル / 12分 / 2021年

郊外の町をさまよう女子高生と、スーパーで出会ったアルバイトしかしていない男、布団に入ったままタバコを吸い、酒を飲みながら語り続ける「友人」との淡々としたやり取り。取り留めのない独り言のようなナレーションが日常の中に揺れ動く思いをつづっていく。時折挿入される風景ショットが効果を発揮し情感を高めている。

鈴木理利子
1999 年東京生まれ。中学時代より記録的に映像や写真を撮り溜め、 日常的に作品を制作する。2017年、実験映像『blink』を制作。大学入学後より実写映画に興味を持ち、2020 年『ペイル・ブルー・ドット』、2021年『Between hate&like』を制作。自分自身の中にある感覚や思考を常に観察し、人間が表に出さないようなニッチな部分を追求した作品をジャンルにとらわれず制作している。現在武蔵野美術大学映像学科四年。

日本

戯れ子ばこ

西尾秋乃 / デジタル / 8分 / 2021年

誰もいない和室にそこはかとなく満ちる何かの気配。仄暗い襖の奥から誰かがこちらを呼んでいる。人気のない畦道、立ち並ぶ空き家——。懐かしくもどこか奇異な田舎の風景が次々入れ子状に展開していく、写真と実写映像のコラージュ・アニメーション。空想と現実が綯い交ぜになった幼少期の記憶の再構築を試みた意欲作。

西尾秋乃
1998年岐阜生まれ。写真や映像のコラージュを用いて映像作品を制作。大学在籍時に制作した『escape』(19)がイメージフォーラム ヤング・パースペクティヴ2020にて上映。

香港

日 ”””’;”””’ 記

ヤン・ワイイン / デジタル / 16分 / 2021年

香港の民主運動において象徴だったある歩道橋周辺の2019年8月から2021年1月にかけてのドキュメント。規制された主流メディアに対して、人々はネットだけでなく壁や柱などの公共のフィジカル・スペースをコミュニケーションの場とした。本作において記録された様々なメッセージは今、急速にデジタル上の「記憶」へと変容しつつある。状況が切実に胸に迫る、香港の現在を伝えるエモーショナルなエッセイフィルム。

ヤン・ワイイン
1994年生まれ。香港で勤務、在住している。語りの中に文学的なテキストを並置、挿入するスタイルを得意とする。個人的な観察や、異なるテキストにおける時間・空間的距離をずらすことで、空間や物体に残っている記憶の普遍的な断片を記述する手法を用いる。

日本 / ベルギー

N・P

リサ・スピリアールト / デジタル / 60分 / 2020年

吉本ばななの同名小説を忠実に映像化しつつも、その表現は実験精神にあふれている。自殺した小説家と子供たちをめぐる特異な愛の物語が鮮烈な夏の光の中で描かれていく。状況音とノイズミュージックをバックにセリフが字幕で示される独自のスタイルが貫かれており、静謐さの中に表出される心の動きが印象的な“サイレント”映画。
原作:吉本ばなな『N・P』(角川書店刊)
©︎1990 BANANA YOSHIMOTO / “N・P”

◎本作は作品の演出上、日英字幕の併記ができないため、英語版は9/28(火)19:00よりイメージフォーラム3階「寺山修司」で上映します。

リサ・スピリアールト
1990年に東京で生まれ、日本とベルギーで育つ。系譜学への強い関心と自伝の物語性を題材とした作品を制作している。



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