PROGRAM

D 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション4

【東京】シアター・イメージフォーラム:9/26(SUN)11:00、9/30(THU)13:15
【京都】Lumen Gallery:10/30(SAT)18:30
【名古屋】愛知芸術文化センター:11/27(SAT)11:00

5作品91分

香港

スモークのためのソナタ

サムソン・ヤン / デジタル / 16分 / 2021年

サウンド・アーティストとして世界的に知られる香港のサムソン・ヤンが、京都の建仁寺・両足院のレジデンスで制作したアクション/パフォーマンスを元にした映像作品。音と空間についての再解釈のパフォーマンスが、記録・編集・再生され、記録を超えた映画的・音楽的なナラティブを生み出す。

サムソン・ヤン
1979年香港生まれ。サウンド、パフォーマンス、ビデオ、インスタレーション等幅広い分野で活動するアーティスト。2013年にプリンストン大学で作曲の修士号を取得し卒業。2017年には第57回ヴェネチア・ビエンナーレで香港代表を務めた。ソロ・プロジェクトでは特にデ・アペル(アムステルダム)、デュッセルドルフ美術館、タルボット・ライス・ギャラリー(エディンバラ)、スマート美術館(シカゴ)、センター・フォー・チャイニーズ・コンテンポラリー・アート(マンチェスター)、M+パビリオン(香港)、森美術館(東京)、建仁寺両足院(京都)、モナシュ大学美術館(メルボルン)などで展示を行う。2020年にはウリ・シグ賞を受賞。

韓国 / 日本

RED TABLE

キムハケン / デジタル / 7分 / 2021年

謎に満ちた日常のシュール化された光景が展開するドローイング・アニメーション。目にバッテンされたサングラスをした少年が、赤いテーブルに置かれたプラレールで遊ぶ。なぜか札束も一緒に置かれ、少年はトランプのように札束を手にする。犬は吠え、おもちゃの貨物列車は犬のぬいぐるみを運び、いつしかそれは骸骨へと変わっている——。

キムハケン
1982年韓国ソウル生まれ。2013年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。東京工芸大学アニメーション学科助教授。他の作品に『ぐりうむ』(10)、『Awaiting』(11)、『MAZE KING』(12)、『Jungle Taxi』(16)。

中国

桃源郷に返る

ホァン・ユエ、ルオ・ユィチャオ、ポン・ハオミン / デジタル / 19分 / 2020年

約1600年前の中国の物語「桃花源記」で描かれる桃源郷では、家屋が整然と立ち並んでいたという。近代化が進んだ今日の中国と架空の理想郷は似ているのか、それとも——。白黒の水彩タッチで戯画的に描かれた高層ビルの中の様々な日常が、三画面マルチ映像で展開する力作。スラムダンス映画祭2021アニメーション短編部門受賞作品。

ホァン・ユエ
インターメディア・アーティスト。広州美術学院のクロスメディア・スタジオを2020年に卒業。動画、インスタレーション、メディアアート等の作品により、メディアと現代社会との関係性を探求している。

ルオ・ユィチャオ
ニューメディア・アーティスト。2020年に広州美術学院を卒業。映像や相互作用的な経験、インスタレーションによって、人々、都市、自然、テクノロジーの間の関係性を探求する作品を制作している。

ポン・ハオミン
インディペンデントアニメーション・ディレクター、ニューメディア・アーティスト。シカゴ美術館附属美術大学で学士を取得し、映画、ビデオ、ニューメディア&アニメーションにおける最優秀新人アーティストとしてBarbara Zenner賞を受賞。作品はスラムダンス映画祭(審査員大賞受賞)、GLASアニメーション映画祭、フェナキ北京アニメーションウィークなど、数多くのフェスティバルや展示で上映されてきた。

台湾

Kの部屋——世界の創造と破壊について

ホン・ウェイリン / デジタル / 15分 / 2020年

作中で読み上げられる「新英文法」の著者柯旗化(Ke Qi-hua)は、戒厳令下の台湾で反体制派知識人と疑われ幾度も投獄されたという。彼の置かれた心的状況のメタファーである「部屋」。そこでは単調な英文の音読とともに記録映像や獄中から家族へ宛てた手紙が立ち現れ、やがて彼の生きた時空間が映画内に再構築されていく。

ホン・ウェイリン
個人映像作家。フランスのESEC映画学校を卒業。テレビの脚本家、プログラムマネージャー、映画マーケティング専門家を経て、現在は映画の技術開発や脚本執筆を行なう中で、隠された歴史や時間の中で忘れられた記憶に光を当てようと試みている。

日本

Parallax

野辺ハヤト / デジタル / 34分 / 2021年

親子のように見える2人の異形のキャラクターがさすらっている。エレベーターを思わせる扉や箱が効果的に使われ、空間が変化し、あてどのない旅の中で儀式的な動きが繰り返される。「視差」が象徴的に表現され、謎が謎を残し、心地よく展開されていく構成が魅力的。「絵と動き」で語るアニメーションの醍醐味を十分に感じられる。

野辺ハヤト
アートディレクターとしてデザイン事務所勤務の後フリーランス。2007年よりアニメーション作品等を制作し始める。『Affordance』(16)は本映画祭の他、海外映画祭でも多数上映・受賞。他の作品に『Caterpillar』(13)など。



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