PROGRAM

C 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション3

【東京】シアター・イメージフォーラム:9/25(SAT)15:45、10/1(FRI)13:15
【京都】Lumen Gallery:10/30(SAT)15:45
【名古屋】愛知芸術文化センター:11/26(FRI)15:45

6作品96分

日本

VOMIT

松田天樹 / デジタル / 8分 / 2021年

真っ白な抽象的空間でひとり嘔吐を繰り返す人間——。作者自身の心的世界を表現した3DCGアニメーションと日常の中で撮影された断片的なフッテージが交錯するセルフドキュメンタリー作品。ぎこちない手付きで外の世界に向けられたカメラは、作者の揺らめく心情と身体性をありありと記録する。表現形式に縛られない瑞々しい第一作。

松田天樹
1999年8月19日生まれ。東洋美術学校高度コミニュケーションデザイン専攻在籍中。イメージフォーラム映像研究所映像アートコース卒。

中国

三位一体

ワン・モーウェン / デジタル / 19分 / 2020年

カメラを片手に6年前に離別した母の居所を尋ね歩く作者は、ある一人の占い師のもとに辿り着く——。母の不在と対峙する娘の個人的な心情を投影しながら、現代中国に生きる核家族の硬直した関係性とその雪解けの瞬間を繊細に映し出す。虚構と現実、並行する世界を軽やかに行き来する、創造性に満ちた意欲作。

ワン・モーウェン
大連市出身のビデオアーティスト。最近は北京に在住し制作活動を行っている。映像のドキュメンタリー的側面に関心があり、制作方法は主に自身の実体験を基としている。それらはドキュメンタリーとビデオの映像言語とのコンビネーションによって作られる独特の世界観を反映しており、作品では現実と非現実の間を行き来することのできる表現を模索している。『三位一体』は第三回北京国際短編映画祭“HALO”部門、CineCina Film Festival2020に招待作品として選ばれた。

日本

Polka-dot boy

ニヘイサリナ / デジタル / 8分 / 2020年

エストニアのアニメーションに影響を受けダークかつユーモラスな作品を制作するニヘイサリナの野心的作品。腕に謎の水玉模様のあざが浮き出る奇病を抱えた少年は、連れ去られた施設で洗脳された子供たちを目にする。そこに一人の女が現れ——。シニカルな演出で不気味なキャラクターが繰り広げるドローイング・アニメーション。

ニヘイサリナ
フリーランスアニメーター。ロンドンのRoyal College of Artでの修了作品である『Small People with Hats』(14)はオタワ国際アニメーション映画祭でのグランプリを含め、海外の映画祭にて数々の賞を受賞。

韓国

ハイドロフォン・バタフライ

ユ・チェ / デジタル / 16分 / 2021年

パリの友人から送られてきた音楽ファイル。作者は帰国したまま再会できなくなった友人を思い出しつつ、部屋に籠もってフィルムにスクラッチして映像制作を続けている。やがて別の友人とバイクにまたがり、街に出た作者は……。パンデミック下の閉塞した日常を実験映画的手法で鮮やかに開放するエクスペリメンタル青春映画。

ユ・チェ
1996年生まれ。東国大学校にて映画とデジタルメディアについて学ぶ。最近はソウルを拠点として活動している

日本

透明な私

村岡由梨 / デジタル / 11分 / 2020年

コロナ禍の中したためた一篇の詩を元に、統合失調症を患いながら今日まで創作を続けてきた自身と家族の軌跡を炙り出す村岡由梨の最新作。世界に対し装着したマスクはいつかスクリーンとなり、過去に生み出してきた作品の数々を映し出す。第67回オーバーハウゼン国際短編映画祭グランプリ受賞の力強いセルフポートレート作品。

村岡由梨
1981年東京生まれ。イメージフォーラム映像研究所卒業。一貫して「セルフポートレート」にこだわった自作自演の映像作品などを制作。2018年から詩作を始める。2児の母。主な作品に『スキゾフレニア』(16)、『透明な世界』(19)等。

台湾 / イギリス

これはある種の中国のイメージ。私は知らないけど。

リウ・クレア・チュンユィ / デジタル / 34分 / 2020年

ジョージ4世が建てたブライトンのロイヤル・パヴィリオンを舞台に交わされる5つの対話。その絢爛な中国趣味の内装はシノワズリーと呼ばれ、当時大流行のモチーフだった。オリエンタリズム的視線を投げかける者と、そこに生きる者。見る者/見られる者。そこにある大きなギャップ。その関係性は過去のものではなく、ますますクリティカルな様相を帯びていることが示唆される。

リウ・クレア・チュンユィ
映像作家の傍ら、マンチェスター・スクール・オブ・アートの博士候補として教鞭を執っている。作品はインスティチュート・オブ・コンテンポラリーアート(ロンドン)、レーベン・ロウ(ロンドン)、FilmFest (ブレーメン)、ドブラ・フェスティバル(リオデジャネイロ)、台北国際ビデオアート展、ゲーテ・インスティチュート・リスボン、ブリティッシュ・カウンシル香港、MKギャラリー(イギリス)、北京民生現代美術館などで上映、展示されてきた。



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