PROGRAM

B 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション2

【東京】シアター・イメージフォーラム:9/25(SAT)13:15、10/1(FRI)11:00
【京都】Lumen Gallery:10/30(SAT)13:15
【名古屋】愛知芸術文化センター:11/26(FRI)13:15

6作品89分

中国

十二月

チョウ・シャオリン / デジタル / 5分 / 2020年

双子と思しき幼い姉妹が並んで机に向かっている。お父さんから半分に切った青いリンゴをもらうと、一人は皮の方からかじり、一人は足をブラブラさせながらじっと見つめる——。そんな他愛もない12月の午後の一コマ。ところがこの味わいは独特だ。工夫された撮影による質感の面白さと穏やかな空気感。愛らしいホットな切り絵アニメーション。

チョウ・シャオリン
個人アニメーション作家。多摩美術大学グラフィックデザイン学科でアニメーションを専攻。アニメーションと詩の表現について研究している。空間の雰囲気や事物の複雑な感情を表現する手法として、切り絵のストップモーション・アニメーションを得意とする。

中国 / イギリス

希望線

シー・ルエニー / デジタル / 7分 / 2020年

私たちの行動の選択は、何も考えずに感覚的に決めたとしても、全てあらかじめ予測可能なものである。全てはbotによって用意された選択肢の一つだ。浮気した相手を生かすか殺すか? 犯行の手段も時間も、計算可能な回路の中。すでに現実となりつつあるトラッキング社会のディストピアを突き放したユーモアで描くアニメーション。

シー・ルエニー
インタラクションデザイナーとして勤務したのち、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートにてアニメーションを専攻。現在は暗号理論とアニメーションの研究で学位取得を目指している。
映画言語と技術的趣向を組み合わせた独自の表現方法で、人間性と技術革新との両立可能性を問う。
2019年には芸術・技術分野における女性部門でラパポート賞を受賞した。

日本

On Time Off Time

岩崎宏俊 / デジタル / 9分 / 2020年

一貫してロトスコープを生かした制作スタイルで国内外で高い評価を得ている岩崎宏俊の最新作。水に飛び込む男、手を繋ぎ回って踊る女たち、寝返りをうつ少年と犬、歩く女、農作業を営む男——。複数に分割し、ときおり天地左右をひっくり返した画面で反復される人間や動物たちの運動。それらが入り乱れることで生まれる共振の心地よさ!

岩崎宏俊
1981年茨城県生まれ。博士(美術)。ロトスコープをシュルレアリスムなどの20世紀の前衛芸術運動と比較美術し体系化した独自のロトスコープ論を確立し研究と実践を続けている。他の作品に『DARK MIXER』(14)など。

香港

暴動の後、光復の前

イウ・ジョンホン / デジタル / 15分 / 2020年

「フィクションやドキュメンタリーではあの出来事を語ることはできないと思った」。国内外で写真家としても活動する作者は、2019年の民主化デモ後一変した香港の街並みをモノクロ写真に収めた。破壊された公共物や壁に書かれたプロテストメッセージなど、写真に映された抵抗の“痕”が激動の季節の記憶を語るフィルム・エッセイ。

イウ・ジョンホン
香港を拠点として活動する個人映像作家。香港中文大学卒業。民間人権陣線での勤務経験を持つ。社会運動と映画製作に尽力する傍ら、写真家としても活動。作品はアジアやヨーロッパのギャラリーで展示されてきた。

日本

密月旅行

荒木悠 / デジタル / 29分 / 2021年

架空の月面基地ナガサキでは、現代風の女性、蝶々さんと20世紀のファッション写真家・アドルフ・ド・メイヤー氏の婚約の儀が粛々と進行している。どこか居心地の悪そうな登場人物達に画面外から調子外れの実況中継が重なる。越境文化をめぐる作者独自の視座から「ジャポニズム」を捉え返す、《蝶々夫人》のユニークな翻案。

荒木悠
1985年山形県生まれ。美術家・映像作家。2018年に共同監督を務めた短編『Mountain Plain Mountain』が第47回ロッテルダム国際映画祭にてタイガーアワードを受賞。主な作品歴に『利未記異聞 WRONG REVISION』(18)、『炉 FUEL』(19)など。

日本

MIND THE GAP

手塚眞 / デジタル / 24分 / 2021年

逃げてくる女、部屋に入り込む。追ってくる男の足、ドアに男の手がかかる、引き出しのピストルを見つける女……。1940年代から50年代のアメリカ映画――フィルム・ノワール的シンプルな場面展開を、モンタージュとコマの反復と差異によって多層化していくミニマルな光と影の世界。遊び心満載の編集の冒険、視覚的・物語的実験!

手塚眞
1961年東京生まれ。ヴィジュアリスト。長編劇場映画から実験的な短編、アニメーションやドキュメンタリーなど映像全般に活動を展開している。主な作品に『星くず兄弟の伝説』(85)、『MODEL』(87)、『白痴』(99)、『ばるぼら』(19)など。



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