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東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション 最終審査結果発表!

 

イメージフォーラム・フェスティバル2019「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」では、日本、中国、韓国から446作品の応募があり、一次審査、二次審査を経て22作品が最終審査にノミネートされました。これらのノミネート作品は本フェスティバルの上映プログラムとして各会場で上映されます。

東京会場最終日には最終審査員3名による審査会議が行われ、4時間を越える協議の結果、以下の通り受賞作品が決定しました。同日に執り行われた授賞式での各審査員からのコメントも以下の通りです。

 

■受賞作品+審査員コメント

【大賞】

『Night Horse』イエルン・バンデルシュトック/デジタル/19分/2019/日本、ベルギー

驚くべき映像体験が、最良の想像のつかなさで我々に忘れがたい印象を残す。(フランシスカ・プリハーディ)

特別な技術や新しい表現を使っているわけでもないのに、イメージや感覚がベッタリと絡みつく作品。コマ落ちしている部分が鑑賞者の想像を掻き立て、フィルムには焼きついていない何かが体の中まで入ってくるような、非常に不思議な体験を得た。(束芋)

 

【寺山修司賞】

『くじらの湯』キヤマミズキ/デジタル/7分/2019/日本

韓国人である私から見ても、共通の幼少期の思い出として心に浮かびあがってくる風景。監督の観察眼とそれを映像として落とし込む才能に感服した。(キム・ジハ)

この作品が好きではない人がこの世に存在するのだろうか。技術的なことはもちろん、キャラクターやストーリー、空間の作り方など、全ての表現が成功していて、見事!キヤマミズキ監督の作品をもっともっと観たい。(束芋)

 

【優秀賞】

『Splash』シェン・ジエー/デジタル/9分/2019/中国

私が学生の頃、イメージフォーラムフェスティバルの受賞作を観たときに感じた、「この作品が生まれたことで広がる映像の可能性」をSPLASHから感じた。当時の実験映像は、一つの価値ある作品が生まれたとき、そこから放射状にひろがるたくさんの可能性を背負っていたように思う。映像を創造するための機器も増え、表現はやり尽くされてしまったように感じてしまう今、こういう作品の誕生で、まだまだワクワクできそうだ。(束芋)

 

『去年列車が通り過ぎた時に』ホアン・パンツアン/デジタル/17分/2018/台湾、フランス

今年のフェスティバルで見た作品の中で最も際立って実験的なアプローチをとった作品。(キム・ジハ)

 

『金太と銀次』大力拓哉、三浦崇志/デジタル/84分/2019/日本

非常にアーティスティックでウィットに富んだ無意味な会話が展開するスローシネマ。物語の伝え方は一見自然に見えるが、誰にも真似のできない熟達を感じる。(フランシスカ・プリハーディ)

 

【東京会場観客賞】

『美しくあいまいな日本の私たち』トモトシ/デジタル/19分/2019/日本

 

■最終審査員

束芋(現代美術家/日本)

キム・ジハ(研究者、映画キュレーター/韓国)

フランシスカ・プリハーディ(映画祭プログラマー/インドネシア)

 

残念ながら選からもれましたが、特に3本の実験的ドキュメンタリー作品に出会えたことを喜ばしく感じていることを付け加えたい。『ロベルト』国本隆史、『同じ月を見つめて』竹村望、『美しくあいまいな日本の私たち』トモトシ、これらの作品が我々をインスパイアしたように多くの観客に届くと信じている。(審査員一同)

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