PROGRAM
《E》東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション5
5作品72分
【東京】シアター・イメージフォーラム：9/28(SUN)4:00pm、10/1(WED)6:30pm
【京都】出町座：11/11(TUE)7:35pm
【名古屋】ナゴヤキネマ・ノイ：11/27(THU)1:10pm
バンコクでゴーストになる方法
ジャオ・ジン / デジタル / 10分 / 2025
“ゴースト”とは突然連絡が途絶え無視する状態を指すスラング。バンコクへの旅行中に恋人と音信不通となり時間を持て余した主人公は幽霊のように街を彷徨い始める。スマートフォンの画面や絵文字など現代的なコミュニケーション・ツールをアイロニカルに盛り込みつつ、コマ撮りや再撮影を駆使して、観光ビデオ的な映像を詩的に昇華！
ジャオ・ジン
北京とロンドンを拠点に活動する映画作家・映像アーティスト。彼女の作品は、フィクション／ノンフィクション映画、XR、映像インスタレーションなど、さまざまな視聴覚メディアを横断して展開されている。個人的な経験に根ざす彼女の映画作品は、親密な関係性の中を生きる繊細かつ複雑な人物像の構築を中心に据えている。また女性性、異文化的アイデンティティ、神話の現代的解釈、公共空間における演劇性といった主題への関心も示している。
Goodbye Waves
ヨウ・ズイカン / デジタル / 8分 / 2025
海辺でタバコを吸う一人の男。化粧をし、二人分の食卓の準備をして部屋で一人誰かを待っている様子の女。待ち人は現れない。いつしか彼女は恋人と過ごした時間を回想するのだが–––。暗い色調のなかにあってマカロンカラーの色遣いが印象的なアニメーションだ。繊細なサウンドデザインで、切なく詩的に一つの“別れ”を描き出す。
ヨウ・ズイカン
1999年中国四川省生まれ。2021年7月、北京映画大学アニメーション学科学部卒業。2025年3月、多摩美術大学デザイン専攻グラフィックデザイン領域大学院修了。
昌慶
イ・ジャンウク / デジタル / 18分 / 2024
現在はソウルの観光名所として人気の朝鮮王朝の古宮・昌慶宮。1418年建立の昌慶宮だが、日本統治下の1909年に動植物園が作られ一般開放された–––。本作はこの動物園で起こった痛ましい歴史を回顧し、対比的に葉脈や枝葉等の映像を重ねていく。2025年ベルリン国際映画祭でインスタレーション版が展示された。作者は自家現像等“手作り制作”の韓国の第一人者。
イ・ジャンウク
シカゴ美術館附属美術大学（SAIC）で映画制作を学び、フィルムの物質性や、ライブ・フィルム・パフォーマンスといった拡張映画の分野に取り組んできた。2004年には実験映画および手作り映画のワークショップを開催するためのSpace Cellを設立、現在も活動している。彼の作品の多くは韓国映像資料院およびアジア文化殿堂（ACC）に所蔵され、テート・モダンをはじめ数々の国際映画祭や展覧会で上映されている。
私の横たわる内臓
副島 しのぶ / デジタル / 11分 / 2024 《SHIBUYA SKY賞》
生きた黄金虫や肉塊、大量な稲穂、籾殻などが装置として見事に融合された人形アニメーションである。謎めいた洞窟が舞台。稲穂の中から出てきた人形の眼前に現れたのは、集団で肉塊を踏む人形、縄跳びをする人形、果物を運ぶ人形等々が織りなす世界だった–––。命のない人形が、自然界の生物に共鳴して、魂を与えられたかのように動き出す異色作。
副島 しのぶ
立体アニメーションの技法を使った短編映画や映像、写真、立体作品を制作。他の作品に、『ケアンの首達』(2018)、『鬼とやなり』(2019)、『Blink in the Desert』(2021)。
物語はまた刻まれる
レイ・レイ / デジタル / 25分 / 2024
世界文化遺産にも登録されている揚州の木版印刷を題材とし、伝統を支える女性職人の個人史を交えて描く。トイカメラや8ミリの質感をいかしたり、フィルムに木版を転写したりと工芸の世界にビジュアル面からもアプローチしている。アニメーション作家で、近年では実験的なドキュメンタリー作品も手がけるレイ・レイの作品。
レイ・レイ
1985年、中国・南昌生まれ。アーティスト、映像作家。レディ・メイドやファウンド・フッテージの収集と研究を基盤とし、デジタル撮影やパロディを組み合わせつつ、放棄された映像、口述史、断片的なオンライン動画、公的記録、商業カタログ、神話や伝承などを織り交ぜながら、視覚的な詩や散文を創出している。映像インスタレーション作品は国際的に主要な美術館に収蔵され、映画作品はベルリン国際映画祭をはじめ数々の主要な国際映画祭で入選・受賞している。
