PROGRAM

《C》東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション3

【東京】シアター・イメージフォーラム:9/30(SAT) 18:30、10/5(THU) 15:30
【京都】京都文化博物館:11/18(SAT) 17:30
【名古屋】愛知芸術文化センター:11/25(SAT)15:45

5作品87分

中国 / 日本

隧道漫歩

李 澤昊 / デジタル / 11分 / 2023年

トンネルをさまよい歩き進んだ先に現れた扉の前に女性が立っている。“私”の問いかけには曖昧な返答が返ってくるだけだ。“私”は目覚めているのか、まだ夢の中なのか。サイアノタイプを駆使し、青色で描かれた蛇口、水、鳥、昆虫など、帆布に描かれた様々なモチーフが浮かび上がっては消えていく幻想的なアニメーション作品。

李 澤昊
1998年、中華人民共和国・南京市生。中国美術学院アニメーション学科を2020年に卒業、23年に東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻にて修士号取得。

台湾

虫が土の中から出てくる時、人間になる

ルウ・エンチョン / デジタル / 24分 / 2022年

2021年秋。世界では新型コロナが蔓延する中、台北の南東、テロの犠牲者が眠る六張犁の墓地には静けさが広がっている。墓を掘る男、頭の無い鶏、三つ足の犬–––。モノローグを背景に現れるこれらは夢か現か幻か? 画面越しに静寂が伝播するかのようなモノクロームの映像が語る、繁栄の歴史に隠された生命の物語。

ルウ・エンチョン
1984年、台湾・嘉義市生まれ。Jittoku Films 有限責任会社元取締役。歴史から消し去られた人や土地をテーマにした映像作品を製作。過去作は”The Boiling Water LAMA”, “Once Upon a Time when Robin Hood Grew Old”, “Crazy Calligraphy”, “Iâm-tiâⁿ Khu-tiúⁿ (Yancheng District Chief), and “THE Boy Q”など。

中国 / 日本

よだか

王 俊捷 / デジタル / 9分 / 2022年

宮沢賢治の「よだかの星」を原作としたドローイング・アニメーション。木の枝が“よだか”にメタモルフォーゼする冒頭は印象的だ。よだかは醜く、他の鳥からは嫌われ、鷹からは改名を迫られる–––。原作のエピソードを丁寧に映像化する一方、原作にはないセリフも加え、作者独自の哀愁に満ちた“よだか”を造形している。

王 俊捷
1996年中国浙江省生まれ。2019年武蔵野美術大学映像コース研究生修了。2023年、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。
VRや手書きアニメーションを作りつつ、いろんなスタイルにも挑戦しています。

日本

眼球の人

村岡 由梨 / デジタル / 12分 / 2023年

電車に座るバイオリンを持ったセーラー服姿の“私”。向かいに座った男が両脚を少しずつ広げた“私”の股の間を凝視する。すると股の奥に“向日葵の花”が咲くのだった–––。同タイトルの作者自身の詩があり、その言葉が全編を紡ぐ。ランゲの「花の歌」の調べに乗って、花を咲かせていく向日葵のシーンは感動的だ。

村岡由梨
1981年生まれ。イメージフォーラム映像研究所卒。一貫してセルフポートレートに拘った自作自演の映像作品を制作。『透明な私』(20)でオーバーハウゼン国際短編映画祭グランプリ。詩集『眠れる花』(21)で中原中也賞・H氏賞候補。2児の母。

韓国

ザ・シューターズ

ヤン・ジフン / デジタル / 31分 / 2022年

1948年に起きた「済州島4・3事件」。国による島民虐殺事件だった。作者は祖父が被害者だったことを知り、カメラを持って祖父の元に通う。酒を飲み、つまみを食べ、少しずつ祖父は身に起きたことを語り始める。父親の遺体と別れ、洞窟に身を潜めた16歳の祖父。そして、自身が討伐隊にも加わったことを話し始めるのだ–––。

ヤン・ジフン
写真家、映像作家。イメージの生産と消費のプロセスに隠された物事を発見しようと試みている。カメラの前でカテゴライズされる人々と、彼らを追いかけることで具体的なイメージを作りだす撮影者たちに関心を持っている。



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