J 短編プログラム:「たどり着かない物語」

4作品76分

シアター・イメージフォーラム(東京):8/4 15:45
スパイラルホール(東京):8/9 16:20
京都芸術センター(京都):8/21 19:00
愛知芸術文化センター(名古屋):9/30 11:30

政治的な暗喩、人物探索、虚実のトリック、論理的遊戯。一筋縄ではいかない映像による謎かけ4題。
 

サウンドマンの死

ソラヨス・プラパパン

デジタル/16分/2017(タイ)

ある映画の音響効果担当の二人。いい音を作ろうと、ソーセージ、旗、ラクダなどを使っていろいろな音素材を採集する。しかし、彼らには悩みがある。効果音は、映画を観ている人にとってそれほど重要なものなのだろうか? ユーモラスさの裏に潜むタイの政治状況への含意が、ブラックな味わいを際立たせる作品。

 

分身

ロイ・フィレフォイエ+ヤン・ディートフォルスト

デジタル/22分/2015(オランダ)

ある白人男性の精巧な人形が作られている。これは一体誰なのか? いくつかの声が、この男について物語る。やがてカメラはパプア・ニューギニアのジャングルの奥地へと進んでいく。文字通りの“人物像”が、重層的に立ち上がり、理解できたと思う間もなくさらに謎が深まっていく、奇妙なポートレート。

 

思い出された映画

イサベル・トッレナエレ

デジタル/18分/2018(ベルギー)

美しい森の中、迷彩服姿でうろつく少年たち。時折銃声が聞こえる。少年たちは、カメラに向かって戦場での経験を興奮気味に語る。ベトナム? イラク? ヨーロッパ戦線? 彼らが語る内容は判然とせずチグハグだ。姿や身振りもどこかおかしい。事実と想像の混同が、不思議な魅力を生む、ひねりの利いたドキュメンタリー。

 

論旨(注釈付き)

ダニエル・コックバーン

デジタル/20分/2017(カナダ)

ナレーションが一つの疑問を呈し、それがまた別の疑問を呼び、それがまた次の疑問を呼ぶ。T.S.エリオット、ホメロス、グルーチョ・マルクス、ジョン・カーペンター、テレンス・デイヴィスらの作品を引用しながら、やがてその問いの主体さえもが問われる事態へと発展していく、巧妙な論理的遊戯。